リアリティの欠けた戦争
毎週購読している「AERA」の本紹介に記事で載っていて気になっていたのですが今日やっと買ってみました。
「となり町戦争」 三崎亜紀 集英社 1400円(税抜き)
タイトル通り、隣町との間に戦争が始まるという荒唐無稽なストーリーですが、「戦争」を体験したことのない人間にとって「戦争」と聞いてイメージする画はイメージでしかなく…そのイメージは過去に起こった戦争についておそらく聞いたり、観たりして出来上がった虚像でしかなく、しかし私達はそれがリアルな戦争だと勝手に思っているのではと。
この本のなかの戦争はそういった性質の戦争ではなく…
日常にじょじょに忍び込む、硝煙のニオイも銃声も、まして死体も見えないリアリティーに欠けた戦争。いつもと変わらない通勤、そして生活。でも着実に戦死者は出ている。
まったく実感がわかないまま、町役場「総務課となり町戦争係」から出頭せよと命じられる主人公。
そこにいた「香西」という女性事務員との関わり…
憎悪、痛み、感情の衝突を伴わない、イデオロギーも見えない戦争。
この戦争でも人が人を殺すという実際の行為自体になんら変わりは無いのに、なぜこんなに現実味を帯びないのか…
常に「??????」と思いながらも巻き込まれ何かを掴もうとする主人公に目が離せません!
さくさく読めて「考えさせられる」一冊でした。(ドトールで2時間くらいで読み終わり)
大切なものは何なのか、命の尊厳とは、人が人である所以は何か。
明日、もし隣国と戦争が起こっても私が今決定しているあすの予定を変更することはないでしょう。
そして戦争のもつ異常性を把握する事も出来ない、むしろその戦争は目の前に死体が血を流して転がらない限り私が現実感をもって向き合うことは無いんじゃないかな。
と、まあ興味がある方は是非読んで見て下さい。登場人物も少ないし、文体的にも読みやすいと思います。
ちなみに、私の周りは今日も平和でした。
だから、というわけではないけど「寿司」握って見ました。
お寿司難しい!修行したくなりました。